映画「ワンダーウーマン1984」 【最速レビュー・解説】※ネタバレあり

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どうも、みなさん。leftyです。

先日、Tohoシネマズ梅田にて「ワンダーウーマン1984」を鑑賞してきました。

梅田のTohoシネマはスクリーン1が一番大きい作りになっているのですが、

今作と同日に公開された約束のネバーランドがスクリーン1にて公開されていて、

今作はスクリーン2だったのでちょっぴり残念でした。

でもお客さんの入りは結構多くて盛り上がっていたので

楽しめました。客層は割と年齢層が高めだった印象です。

さて、ここから映画の感想に移りますね。

今作をどこから切り込もうか悩むところではあるのですが、

個人的には今作のヴィランであったマックスウェル・ロードが印象的です。

彼はヴィランというにはあまりにも人間的で、

共感する部分が多いキャラクターでした。

彼の生い立ちや人物像もしっかり描かれていて

結果的に悪いことをしているんだけど、

しっかりとした信念があるので憎めないんですよね。

全体的に今作は人間の本質的な部分を浮き彫りにしていて、

主人公のダイアナ含め、

登場人物全員が自分の理想と現実の中で葛藤していた印象です。

今作の鍵となるのが古代の遺物である魔法の石シトリンです。

これに触れるとなんでも願いが叶うというチート級のアイテムです。

後にチーターというヴィランになるダイアナの同僚バーバラは、

地味で目立たない存在でした。

彼女はダイアナのように明るくて強く、セクシーな人気者に憧れていて、

石にダイアナのようになりたいと願い、願いを叶えます。

一方でダイアナは石の力で、失ったかつての恋人スティーブを現世に呼び戻します。

石油の発掘に失敗し、投資家にも見捨てれ、破産寸前だった事業家のマックスは

魔法の石と同化することで他者の願いを叶え、見返りを貰い、

自分の都合のいいように世界をコントロールしようとします。

魔法の石には、望んだものの代わりに何かを失うといった条件があります。

今作ではこれをW・W・ジェイコブスの小説「猿の手」に出てくる

呪いのアイテムを引き合いに出しています。

この条件により恋人と引き換えにダイアナは力を失い、

バーバラは優しさや慈しみと引き換えに力を手にします。

誰かの欲望を満たす代わりに、誰かが苦しんでいき、人間の私欲のために

世界は混沌を極めていきます。石はそうして古代から文明を破壊してきたのです。

マックスは石の力でアメリカ合衆国大統領の核配備の夢を叶え、

見返りに大統領の実権まで手にしてしまいます。

挙句、放送局から全世界の人の願いを叶えてしまいます。

ダイアナは再会した恋人をまた失う苦しみと荒れていく世界を救う

ヒーローとしての使命の間で激しく心が揺れます。

ティーブを何十年も愛してきた彼女にとって個人の

幸福を手放すことがどれほど辛いことか、深く伝わってきました。

ティーブが世界を救うことを望んでいることを彼女がよく分かっているからこそ

余計辛いんですよね。

彼女がスティーブと別れ、全てを振り切るように全速力で走り出すシーンは彼女の

愛する世界を救おうとする意思の強さを感じます。

映画のラストにマックスの生い立ちが描かれますが、彼自身は純粋に成功して

バカにしてきた人達を見返してやるという動機から動いているように感じました。

彼は子供の頃に移民ということで周りに馬鹿にされ、父親の愛情も受けずに育ちました。

だから彼は自分の子供にとって立派な親でありたいと思っていたし、何より息子の願い

を叶えてあげたかったんだと思います。最後の親子の再会シーンは感動しました。

今作はみんな何かしら自分の抑圧された欲望と戦っていて、

実に人間の本質を描いた作品であったと感じます。

アクション、音楽、脚本全てに痺れました。